2020年から6年越し、田中泰延が奥田民生に聞き続けた対談――最終回には「引退」というテーマも入っていた
調べてみたら面白かったから、みんなにも教えたくて。
2020年6月、2020年12月、2021年2月、2021年6月。
そして6年近く空いて2026年6月に2回。
同じ2人による対談が、これだけ間隔を空けて重ねられることは珍しいのではないでしょうか。
その2人とは、UNICORNのボーカルとしても知られるミュージシャン・奥田民生さんと、ベストセラー『読みたいことを、書けばいい。
』の著者である田中泰延さん。
「書く」ことのプロである田中さんが聞き手に回り、延べ10数時間分の雑談を1冊にまとめた書籍『ゆるさかげん 奥田民生に田中泰延がきいてみた』が9月28日に発売されました。
対談期間の長さは、そのまま奥田さんの数年間の変化の記録にもなっています。
先に結論をまとめると:
– 『ゆるさかげん』は9月28日発売、価格1,980円(税込)・320ページ
– 収録された対談は2020年6月から2026年6月まで6回に分けて実施され、最終回には「人生哲学・音楽の力・引退」といったテーマも含まれる
– 紀伊國屋書店梅田本店でサイン本のWEB抽選販売を実施中(受付は10月4日まで)
なぜ1回の取材でまとめなかったのか
インタビュー本の多くは、限られた時間の中で聞きたいことを一気に聞き切る形で作られます。
ところが『ゆるさかげん』はその逆をいく作りになっていて、ホーム社が公開している目次によると、収録された6回の対談は次のようなテーマで構成されています。
第1回(2020年6月)は仕事術や弾き語りを始めたきっかけ、リズムへのこだわりについて。
第2回(同年12月)ではコロナ禍で広がった配信活動と、「すべてのバンドはいっぺん解散したほうがいい」という趣旨の発言。
第3回(2021年2月)は配信ライブの手応え、第4回(同年6月)はギターや制作プロセスの話題。
そして間隔が空いて第5回・第6回(いずれも2026年6月)では、還暦を超えてからの創作活動や、人生哲学、音楽の力、そして引退というテーマにまで話が及んでいます。
つまりこの本は「今の奥田民生」を一度に切り取ったものではなく、40代後半から60代にかけての奥田さんの発言を、そのときどきの言葉のまま積み重ねたものです。
あとから振り返って語られる述懐と、その時点での本音では、当然ニュアンスが変わってきます。
写真も田中さん自身が撮影したもの
本文に収められている奥田さんの写真は、田中さん自身が撮影したものです。
ホーム社の書誌ページでは田中さん撮影による写真が掲載されていることのみが明かされており、各写真がどの年のインタビュー時に撮られたものかまでは確認できていません。
同じ人物・同じ聞き手による写真が対談と並んで収録されているという構成は、対談本としても珍しい部類に入りそうです。
サイン本は梅田本店で抽選、引き換えは店頭のみ
紀伊國屋書店梅田本店では、発売にあわせてサイン本のWEB抽選販売を実施しています。
申し込みは同店のウェブストア会員メニューから行う仕組みで、受付期間は9月28日10時から10月4日23時59分まで、当選連絡は10月9日に予定されています。
購入と引き取りは梅田本店の店頭に限られ、通信販売や他店舗での受け取りはできません。
ほかの書店でも同様の展開があるかどうかは、今回確認できた範囲の情報では分かっていません。
Pintab編集部の考察
対談本の多くは「完成された作家像」を短期間で切り取ります。
しかし『ゆるさかげん』が面白いのは、6年という時間そのものが素材になっている点です。
コロナ禍での配信活動への言及、還暦を超えてからの創作への言及――同じ2人が同じテーブルで話しているのに、その時々の空気がそのまま閉じ込められています。
「推し」を追いかける楽しさの一つは、その人が変わっていく過程に立ち会えることです。
振り返りのインタビューでは、変化はすでに整理された形でしか語られません。
ですが本書のように当時の発言がそのまま残っていれば、ファンは自分の記憶と照らし合わせながら読むことができます。
2020年当時に配信ライブを追っていた読者であれば、その時期のパートは「答え合わせ」のような読み方になるはずです。
1冊の中に複数の時間軸が同居している、珍しいタイプの対談本といえそうです。
対談の間隔が空いた理由そのものは本や公開情報の中で明かされていませんが、結果として本書は「奥田民生の今」ではなく「奥田民生のこの6年間」を読める1冊になりました。
単発のインタビューでは持ちえない厚みが、ここにはあります。
まとめ
『ゆるさかげん 奥田民生に田中泰延がきいてみた』は9月28日発売。
2020年から6年をかけて重ねられた対談が1冊にまとまり、紀伊國屋書店梅田本店ではサイン本のWEB抽選販売が10月4日まで受け付けられています。
書き手として名高い田中さんが聞き役に徹した1冊は、奥田さんのファンだけでなく、対談本というジャンルそのものに関心がある人にも手に取ってほしい内容になっています。
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