「アナログだよ、アナログなんだよ!」——種村有菜30周年原画展、修正ゼロの原画が”宝探し”にされた理由
調べてみたら面白かったから、みんなにも教えたくて。
「ホワイト修正を見つける方が宝探しになるってどゆこと」。
京都の会場で原画を見た投稿者は、そう言って半ば本気で焦っていました。
漫画家・種村有菜さんの画業30周年を記念した原画展が、いま京都で開かれています。
デジタル作画が当たり前になった時代に、手描きの原稿がなぜここまで人をざわつかせているのか。
会場から届いた投稿を手がかりに、実際のところを確かめてみました。
読者にとっても、紙の原稿がどんな仕事だったのかを知る機会になりそうです。
先に結論をまとめると:
– 「種村有菜 30周年記念展 きらめく少女たちの夢物語」の京都会場が、アニメイトアバンティ京都6階(Space Galleria KYOTO)で9月21日まで開催中です
– 展示されている原画には修正液(ホワイト)の跡がほとんどなく、その精密さがSNSで話題になっています
– ネーム(下書き段階の構成原稿)も展示されており、当時FAXで担当編集者へ送っていた事情まで見えてくる内容です
「絶対行ったほうがいい」投稿に2,300件超のリポスト
種村有菜さんといえば『神風怪盗ジャンヌ』『満月をさがして』『紳士同盟†』『桜姫華伝』など、90年代後半から2000年代にかけて「りぼん」を彩ってきた漫画家です。
その画業30周年を記念した原画展「種村有菜 30周年記念展 きらめく少女たちの夢物語」が、東京・大阪に続いて京都でも開催されています。
会場はアニメイトアバンティ京都6階のSpace Galleria KYOTOで、会期は8月21日から9月21日まで、営業時間は10時から21時です。
会場を訪れたファンの投稿が、9月6日に大きな反応を呼びました。
「アナログなんだよ」という言葉を何度も畳みかけ、ホワイト修正の跡を見つける方が難しいと訴える書きぶりから、会場での驚きの大きさが伝わってきます。
ねっこれ恐怖なんだよ!!アナログだよ!アナログなんだよ!!聞いてる?!アナログなんだよ!!ホワイト修正を見つける方が宝探しになるってどゆこと!ちょっと!!絶対行ったほうがいいよ!!絶対生で見た方がいいよ!!一緒に絶望しよ!!漫画描く人!!
— わァきた (@ekawata_kiw) 2026年9月5日
という種村有菜先生の30周年記念展 pic.twitter.com/6Qzc2brreb
この投稿には2,300件を超えるリポストがついており、実際に会場へ足を運んだ人・行こうか迷っている人の双方を巻き込んでいる様子がうかがえます。
ただ、「修正がほぼゼロ」という一言だけでは、それがどれくらい珍しいことなのかまだ実感がわきません。
そこで、原画展で実際に何が展示されているのかをもう少し詳しく見ていくことにしました。
なぜ「アナログの精密さ」がここまで驚かれているのか?
会場に展示されているのは、単行本の表紙や扉絵として描かれたカラー原稿です。
今回添付された写真を見ると、水しぶきをまとって舞う人物や、リボンとバラが画面いっぱいに渦を巻く構図など、線の情報量がとても多いイラストが額装されて壁に並んでいます。
大量の細かい線を、修正液でやり直した跡がほとんど見えない状態で仕上げているというのが、投稿者たちが驚いている中身のようです。
デジタル作画であれば、線を描き間違えても「取り消し」の操作一つでやり直せます。
ですが紙にペンで描く原稿は、一度引いた線を消すのに手間がかかるため、慣れた作家でも修正液を使う場面は珍しくありません。
それがほとんど見当たらないということは、下描きの段階から相当な精度で線を決めていたことになります。
原画に加えて、ネーム(コマ割りやセリフを描き込んだ構成段階の原稿)も展示されています。
会場を訪れた別の投稿者は、当時のやり取りの裏側をこう振り返っていました。
種村有菜30周年記念展、京都アバンティ6階にて開催中✨思い出語り⑧
— 種村有菜 (@arinacchi) 2026年9月5日
記念展ではいくつかネームも展示されてます。
ネームは当時FAXで送っていたので、機械が読み取りやすいようにミリペンで描いていました。
最初の読者である担当さんに、かすれて読めないなんてことがないように。 pic.twitter.com/Q8X68xXvIX
ネームは当時FAXで担当編集者に送っていたため、機械が読み取りやすいようミリペンで描いていたとのことです。
「最初の読者である担当さんに、かすれて読めないなんてことがないように」という配慮が、ネームの描き方そのものに表れていたことになります。
デジタル入稿が主流になった今では想像しにくい制作の裏側です。
トーンの使い方にも意図があったのか?
原画をよく見ていたファンからは、線だけでなくスクリーントーン(陰影や質感を表現するための専用シート)の使い方にも発見があったという声が上がっています。
あるシーンでは背景全体にトーンを貼り込む一方、別のシーンではキャラクターの顔だけトーンを外し、視線がそこに集まるよう調整していたというのです。
会場ではこうした細部を近くでじっくり見比べられるため、印刷された単行本だけでは気づきにくい工夫が見えてくるようです。
こうした「原画だからこそ分かること」は展覧会の楽しみ方として王道ですが、今回の反響の大きさは、単なる懐かしさではなく「今の目で見ても技術的に驚かされる」という発見の共有によるところが大きいと言えそうです。
京都会場は9月21日まで、韓国開催も決定
この原画展はもともと東京・大阪・京都の3会場で展開されており、京都は最後の会場にあたります。
会期は9月21日までで、前売券に残数がある場合に限り当日券も窓口で先着販売されます。
さらに、公式アカウントからは9月に入って韓国での開催も決定したと発表されており、国内の巡回にとどまらない広がりを見せています。
チケットや最新情報は、原画展の公式サイトで確認できます。
Pintab編集部の考察:原画展が伸びるのは「答え合わせ」ができるから
こうした原画展が繰り返し話題になるのは、単に「懐かしい作品を振り返れるから」ではないと考えています。
読者はすでに単行本という「完成形」を知っています。
その完成形がどうやって作られたかという工程を、原画という一次資料で答え合わせできる点にこそ、原画展ならではの価値があります。
今回であれば「トーンの貼り方で視線を誘導する」「ネームをFAX前提の字で描く」といった、印刷物からは読み取りにくい制作上の工夫が、原画という物理的な証拠を通してはじめて共有可能になりました。
SNSでバズる原画展の投稿の多くが、感想の羅列ではなく「発見」の形をとっているのは偶然ではないでしょう。
デジタル作画が主流になった今だからこそ、アナログ時代の制作プロセスそのものが新鮮な情報として受け取られているのだと思います。
まとめ
種村有菜さんの画業30周年を記念した原画展は、京都会場が9月21日まで開催中です。
修正の少なさに驚く投稿をきっかけに、原画とネームという一次資料が持つ情報量の多さが改めて注目を集めています。
さらに深掘りしたい方へ
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