「脱出は有り得ない。しかし、遺体も見つからない」――今村翔吾、作家10周年に選んだ本能寺の変ミステリー『未だ本能寺にあり』
調べてみたら面白かったから、みんなにも教えたくて。
「脱出は有り得ない。
しかし、遺体も見つからない」。
9月29日、今村翔吾さんはこの一文とともに新刊の発売を告げた。
タイトルは『未だ本能寺にあり』。
天正十年、本能寺で織田信長が消えた「あの日」を、羽柴秀吉の家臣・駒井八右衛門が追いかける歴史ミステリーだ。
直木賞作家としての代表作を数多く持つ今村さんが、デビュー10年の節目にこのテーマを選んだ理由が気になり、作品の中身を調べてみた。
先に結論をまとめると:
– 今村翔吾さんの新刊『未だ本能寺にあり』(幻冬舎・572ページ・2,420円)が9月29日に発売
– 地方紙各紙での連載を経て単行本化された、著者「作家10周年記念作品」
– 本能寺で消えた織田信長の遺骸を、羽柴家家臣・駒井八右衛門が追う歴史ミステリー
「作家10周年記念作品」を、著者本人が発売当日に告知
今村翔吾さんは発売当日、自身のアカウントでこの新刊を次のように紹介した。
【本日発売‼︎】
— 今村翔吾 (@zusyu_kki) 2026年9月28日
本日9月29日(火)
いよいよ『未だ本能寺にあり』が発売となりました!
脱出は有り得ない。しかし、遺体も見つからない……本能寺で消えた織田信長を探せと、羽柴秀吉が命じる。
《作家10周年記念作品》として、自信を持ってお届けします。是非、手に取って下されば幸いです! pic.twitter.com/2cZg6aVXpu
「脱出は有り得ない」という言い切りに続けて「遺体も見つからない」と重ねる書き出しが印象的だ。
本能寺の変というよく知られた史実に、まだ語られていない謎が残っていることを短く示している。
「作家10周年記念作品」という位置づけそのものが、今村さんにとってこの題材への力の入れ方を物語っているといえそうだ。
ただ、代表作を多く抱える著者がこのタイミングで本能寺の変を選んだ背景には、単行本化までの経緯も関わっている。
なぜ「本能寺の変」を10周年の題材に選んだのか?
『未だ本能寺にあり』は、もともと地方紙各紙で連載されていた歴史小説を単行本化した作品だ。
物語の中心にいるのは、織田信長でも明智光秀でもなく、羽柴秀吉の家臣・駒井八右衛門。
秀吉は、信長の遺骸を自分より先に見つけられ弔われてしまえば、天下取りの座を奪われかねないと恐れ、八右衛門に密命を授ける。
一度見聞きした物事を忘れない異能を武器に、八右衛門は織田方・明智方、そして”影の目撃者”たちの証言をたどりながら、消えた天下人の行方を追っていく。
歴史上何百年も議論されてきた「本能寺の変の後」に、家臣という一次資料には残りにくい視点から迫る構成が、本作の軸になっている。
単行本は572ページと、一般的な文芸単行本と比べてもかなりの厚みがある。
地方紙での連載期間中に積み重ねられた回数がそのまま単行本のボリュームになった形で、幻冬舎はこれを「超大作歴史ミステリー」と位置づけている。
新聞連載小説は毎回の掲載で読者を引き付ける構成が求められるジャンルであり、その積み重ねが単行本化された際に一冊で読み通せる密度につながっているとみられる。
発売前から動いていた宣伝は、どんな形だったのか?
発売に先立ち、今村翔吾事務所のアカウントは6月の時点で、プルーフ(校正刷り)に著者本人の手描きPOPが添えられていたことを明かしていた。
『未だ本能寺にあり』のプルーフには、
— 今村翔吾事務所 (@shogo_imamura_) 2026年6月25日
今村先生の手描きPOPを入れていただきました!👀✨
9月29日発売です!!📚🎶
発売まで楽しみにお待ちいただけますと幸いです🙇♀️#未だ本能寺にあり#今村翔吾
(スタッフB) https://t.co/RvY5jUcE8r
9月29日の発売までの3か月間、幻冬舎の特設ページは段階的に情報を公開してきた。
作品世界を掘り下げるコラム、キャラクター解説、史実を交えた小話に加え、書店員向けの販促素材ダウンロードコーナーまで用意されている。
単発の発売告知で終わらせず、書店の店頭展開まで見据えて情報を出し続けてきたことが、9月29日の発売時点でのXでの反応につながったとみられる。
Pintab編集部の考察
歴史ミステリーというジャンルは、フィギュアやグッズのように”モノ”としての作り込みを見せる場面が少ない分、宣伝の軸をどこに置くかが難しいジャンルでもある。
今回の展開で目を引くのは、発売直前の販促を著者本人の言葉と手描きPOPという「作者の肉声」に寄せている点だ。
史実ベースの物語は、内容紹介だけでは新規性を出しにくい。
だが「なぜ今、このテーマを10周年に選んだのか」という著者自身の動機を見せることで、既刊を読んだファンにも新しい角度の関心を作っている。
地方紙連載から単行本化という経路も、地域読者を巻き込みながら全国的な知名度につなげる手法として、他の歴史小説にも応用できそうな型に見える。
全国紙とは違う読者層に先に届けたうえで単行本化するという段取りは、初動の口コミを地方から広げていく狙いも透けて見える。
まとめ
本能寺の変という使い古された題材に、家臣の視点という切り口で挑んだ『未だ本能寺にあり』。
572ページという厚みそのものが、地方紙連載を通じて積み重ねられた物語の密度を物語っている。
気になった方は、書店や電子書籍ストアで手に取ってみてください。
さらに深掘りしたい方へ
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